「どんでん返し」「大盤振る舞い」

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コトバの語源⑳

昔使われていたものが語源となっている言葉

「どんでん返し」「大盤振る舞い」

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聞き慣れた表現の中には、意外な語源を持つ言葉があります。今回は、昔使われていたあるものが語源となっている言葉の由来をご紹介します。

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どんでん返し

「あの映画のラストにはどんでん返しが待っていた」のように、物語などの内容や展開が正反対になるという意味の言葉です。では、なぜ正反対になることを「どんでん返し」と呼ぶのでしょうか。
この言葉の由来に関係しているのは歌舞伎。歌舞伎の舞台には、場面転換をする「龕灯返し(がんどうがえし)」という仕掛けがあります。これは大道具を後ろに90度倒すと次の場面が下から出てくるという仕組みで、舞台照明が消える一瞬の間に素早く場面を変えることができます。当初は龕灯返しと呼ばれていたこの装置ですが、歌舞伎の舞台で鳴る大太鼓の音、または大道具を倒す様子を例えた「どんでんどんでん」という言葉から「どんでん返し」に変化したといわれています。そして舞台をガラリと変えることができる舞台装置に、物語が正反対に変わることをなぞらえたのが「どんでん返し」という言葉なのです。
元となっている「龕灯返し」の「龕灯」とは、江戸時代に発明されたと伝えられる携帯型ランプのこと。龕灯はどの向きに持っても常に中のろうそくが上を向くように設計されており、進行方向のみ照らすことができます。この龕灯内部の仕組みが、元々の「龕灯返し」の名前の由来だそうです。

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大盤振る舞い

人に金品や食事などを気前よく振る舞う際に用いられる表現です。「今日は給料日だったので、家族をレストランへ連れて行き大盤振る舞いをした」のように、盛大にもてなすという意味も含んでいます。
この表現の語源をたどると、平安時代までさかのぼります。当時「大盤振る舞い」は「椀飯振舞(おうばんぶるまい)」と表記されていました。「椀飯」とは、平安時代の宮中行事の際に振る舞われていたとされる、「わんばん」と呼ばれるお椀に高く盛り付けられたご飯のこと。「わんばん」がやがて「わうばん」と変化し、さらに後に「おうばん」と呼ばれるようになったそうです。
平安時代当時の宮中では、山盛りの飯・椀飯だけではなく肴やお菓子、お酒なども盛大に振る舞われていたそう。そしてこの風習は、江戸時代になると庶民にまで広まります。江戸時代の「椀飯振舞」は平安時代とは異なり、庶民が親戚縁者を集めてごちそうを振る舞う、豪勢な酒盛りを意味するようになりました。この時のごちそうが大皿に盛られていたこと、または「椀飯」と「大盤」が混同されたという理由から「大盤」の字が当てられ、「大盤振る舞い」の表記が一般的になったそうです。
ちなみに、栃木県日光市にある寺院・輪王寺では、この寺院のみに古くから伝わる儀式「強飯式(ごうはんしき)」が、毎年4月2日に行われます。山伏姿の「強飯僧(ごうはんそう)」が裃(かみしも)を着用した「強飯頂戴人(ごうはんちょうだいにん)」へ、椀に山盛りにされたご飯を食べるよう強要するという、ユニークな行事。実は、この儀式は平安時代から続く風習「椀飯振舞」の名残という説があるそうです。

今回ご紹介した「どんでん返し」「大盤振る舞い」はいずれも、日本に古くから伝わる文化や伝統が影響しています。現代で普通に使われている言葉にも、このような歴史を感じることができるのは、日本語のおもしろさといえますね。

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