「斜に構える」「天地無用」

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間違いやすい日本語

上・下・斜め……向きにまつわる言葉のホント

「斜に構える」「天地無用」

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日ごろわかったつもりで使っている言葉が実は反対の意味だったら……。今回は、上下、斜めといった「向き」にまつわる間違いやすい日本語とその正しい意味をご紹介します。

真剣?不真面目?「斜に構える」

「斜に構える」という言葉。意味の前にまず、読み方からチェックしてみましょう。
次のうち、どの読み方が正しいでしょう?

1.しゃにかまえる
2.はすにかまえる
3.ななめにかまえる

実は、1と2が正解。「しゃにかまえる」と読むほうが一般的なようですが、「はすにかまえる」でも間違いではありません。

さて、続いてその意味を見ていきましょう。

【斜に構える】
1.剣道で、刀を斜めに構える。
2.身構える。改まった態度をする。
3.物事に正対しないで、皮肉やからかいなどの態度で臨む。
(出典 小学館 デジタル 大辞泉)

「斜に構える」という言葉は、「不真面目な態度」「皮肉な態度」を指す言葉と思っている方が多いのではないでしょうか。実際に3つ目の用例として紹介されてもいます。でも、本来の意味はどちらかといえばその反対。物事に対して十分に身構えることをいうのです。

「斜に構える」は1つ目に紹介されているように、本来、剣道で使う言葉でした。「剣道で、刀を斜めに構える」というのは、剣の切っ先を相手の喉元か左目に向ける「中段の構え」であるという説や、刀の剣先を中心よりも斜めに向ける構えであるとか、片方の足や肩を引き、体を斜めにする構えのことである、などの意見があるようですが、いずれにしても、戦闘に備えて十分に身構えることを指していると思われます。

しかし「斜めに構える」ことが転じて、「物事に正対しない」という意味で使われるようになり、「皮肉やからかいの態度で臨む」意味合いで使われることが多くなっていったようです。人の態度を表す言葉として用いられた際には、どちらの意味で使われているのか注意したほうがよい言葉です。

ひっくり返してはいけない!「天地無用」

運送する荷物の外側に表示する言葉「天地無用」。さて、この言葉が記された荷物、どう扱うのが正しいでしょうか。
平成25年度の文化庁の「国語に関する世論調査」で実際に出題された問いです。

天地無用の意味は?

例文:「天地無用の荷物。」
1.上下を気にしないでよい
2.上下を逆にしてはいけない

答えは、2の「上下を逆にしてはいけない」です。辞書で詳しい意味を確認すると、このように書かれています。

【天地無用】
運送する荷物などに表示する語で、破損の恐れがあるため上と下を逆にしてはいけない、の意。
(出典 小学館 デジタル 大辞泉)

「国語に関する世論調査」では、正答者が55.5%と半数以上でしたが、「上下を気にしないでよい」で使う人も29.2%と、およそ3割の人が間違った意味でとらえていたのです。

正反対の意味にとる人が多いわけは、「無用」という言葉の使い道の広さにあるのではないでしょうか。「無用」には「役に立たないこと」、「用事のないこと」という意味のほか、よく使う「遠慮は無用」「心配ご無用」という言い方のように「いらないこと、不要」の意味があります。さらに「立ち入り無用」「天地無用」という使われ方になると、これは「してはいけない。禁止」という意味になるのです。遠慮は無用、のような使い方が頭にあると、「天地無用」と聞いて「天地を気にする必要はない」と思い込んでしまうのかもしれませんね。

「向き」にまつわる間違えやすい言葉、いかがでしたでしょうか。「天地無用」は間違って覚えていると、そのせいで大事な荷物が破損……といったことにもなりかねません。通販を利用することが多い昨今、運送用語も正しく覚えておくと安心ですね。

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