文化|「七夕の由来」 新暦になって雨が降りやすく。ロマンチックな由来のある節句

文化|「七夕の由来」 新暦になって雨が降りやすく。ロマンチックな由来のある節句


夏の風物詩である七夕は「たなばた」または「しちせき」と読み、季節の節目となる五節句のうちのひとつ。3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句などとともに、広く親しまれています。七夕の由来は諸説ありますが、代表的なものは3つ。これら3つが結びついて今の日本の七夕になったとされています。

七夕の由来その1:織姫と彦星の伝説

「織姫と彦星の伝説」が、最も認知度の高い七夕の由来ではないでしょうか?中国漢王朝の時代に編纂された文献に残る、こんなロマンチックなストーリーです。

「天帝(てんてい※)の娘の織姫と彦星(※)は恋に落ち、やがて結婚。ところが2人は楽しさにかまけて一切仕事をしなくなります。怒った天帝は2人を天の川の両岸に引き離し、7月7日の夜だけ会うことを許しました」

現代の中国では、七夕は「七夕情人節(恋人たちの日)」でバレンタインデーのような日。イベントやキャンペーンなどが行われ、毎年大盛り上がりをみせます。

※天帝…古代中国の最も位が高いとされる神。※織姫…こと座の星ベガの別名。機織り(はたおり)が得意とされる。※彦星…わし座の星アルタイルの別名。農耕を司るとされる。

七夕の由来その2:乞巧奠(きこうでん)

「乞巧奠(きこうでん)」は、もともとは中国における針仕事の上達を祈る行事で、7月7日の夜に7本の針に糸を通して竹竿にかけ、庭の祭壇に捧げものを用意するというもの。これが「織姫と彦星の伝説」と結びつき、しだいに針仕事から機織りへ、さらに書道や芸事の上達と、願いごとの範囲も広がっていきました。

日本へ乞巧奠が伝わったのは奈良時代のことで、宮中行事として取り入れられました。梶(かじ)の葉に和歌をしたため、詩歌や針仕事、音楽などの上達を願ったようです。現代の日本では短冊に願いごとを書いて笹竹に吊るしますが、中国の乞巧奠と日本の宮中行事を足して2で割った感じがしますね。

七夕の由来その3:棚機(たなばた)

七夕の語源だとされるのが「棚機」です。棚機は旧暦の7月7日(新暦で7月下旬から9月上旬)に行われる日本の神事で、乙女が「水辺上の棚に建つ機屋(はたや)=棚機」に入って機を折り(※)、お盆に先立って祖先の霊を迎える準備をします。7月7日の夕方に行われることから七夕(しちせき)と呼ばれていましたが、棚機(たなばた)にちなんで、七夕(たなばた)という読みに変化したと言われています。
※機を織る…織機を使って、糸を縦横に織り布(織り物)を作ること

雨が降ると織姫と彦星は会えない?

七夕の日に雨が降ると天の川が増水するために、2人は会うことができない……そんな話を小さいころ聞いたことはありませんか?旧暦の七夕は現在で言うお盆のころですが、新暦7月7日だとまだ梅雨が明けていない地域が多くあり、ちょっと心配になりますね。

実は雨が降るとどうなるかには、別の説もあります。どこからか“カササギ”という鳥の群れが飛来し、天の川にかける橋となって、2人の逢瀬を助けてくれるという説です。7月7日の雨は「催涙雨(さいるいう)」ともいい、「会えない悲しさで織姫が流す涙」と言われていますが、この説を採用して嬉し涙だという説もあります。
ちなみに前日の7月6日に降る雨は「洗車雨」と言われます。翌日のデートに備えて、彦星が牛車を洗う雨だという微笑ましい由来です。

短冊に願いをこめて。オススメの願いごとは「芸事や手習いの上達」

七夕はその由来から、手仕事や趣味、芸事、習い事の上達を願うのがならわし。短冊にはそのような願いごとを書くのが本来の作法です。とはいえ、街角で見かける子どもたちの無邪気な短冊はなんともかわいらしいもの。さまざまな由来が結びついた七夕ですから、あまりお作法にはこだわらず楽しみたいですね。

七夕飾りの色とりどりの短冊が揺れる様子は、この時期だけ楽しめる季節の趣。雨が降っても1年ぶりに会えた恋人の涙と思えば、なかなかロマンチックです。今年の七夕は上達したい手習いや、チャレンジしてみようと思っていることを短冊にしたためてみてはいかがでしょうか?

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