語源・由来|「きちょうめん」「たくさん」 漢字のなかに由来が見える

語源・由来|「きちょうめん」「たくさん」 漢字のなかに由来が見える


日常会話でよく使う言葉を、あらためて漢字でどう書くのか、じっくり見てみませんか?その言葉に込められた意味、由来の発見につながることもあります。今回は「きちょうめん」と「たくさん」。漢字ではどう書くのでしょうか。

平安時代の家具の細工が語源「きちょうめん/几帳面」

「きちょうめん」は、漢字で書くと、「几帳面」。性格を表す言葉で、「細かいところまで物事をきちんと行うさま」「決まりや約束にかなうように正確に処理するさま」(出典:デジタル大辞泉)を表します。時間をきっちり正確に守る人のことを「あの人は時間に几帳面だ」というように使います。

この「きちょうめん」という言葉の由来、実は、家具の細工を表す言葉からきているのです。

平安時代の寝殿造りの室内では、間仕切りや目隠し、風よけのために屏障具(へいしょうぐ)と呼ばれる家具が使われていました。屏風(びょうぶ)や衝立(ついたて)、障子などと合わせて使われていた屏障具のひとつが「几帳」です。
細い2本の柱に横木をT字に渡し、帷子(かたびら)と呼ばれる絹を垂らしたもので、平安時代の高貴な人々を描いた絵巻物にしばしば描かれています。

この几帳の柱に施された面取りの細工の名前を「几帳面」といったのが本来の意味です。几帳の、細い柱の角の表面を削ってやや丸くし、両側に段をつけるように鋭角に三角形を切り取った細工で、職人に、丁寧で細やかかつ正確さを要求する仕事であることから、「細かなことまできちんとする」性格のことを「几帳面」というようになったのです。

細工を表す言葉として「几帳面」を使うことは現代では少なくなりましたが、職人の仕事の質のよさを表すような言葉として残り、人の性格を表す言葉として使われ続けているのです。

沢にも山にも多量の意「たくさん/沢山」

「たくさん」は、量が多くて十分なこと、これ以上はもう不要なことを表す言葉です。『平家物語』に使用例が見られることから、鎌倉時代には使われていた言葉のようです。

この「たくさん」、漢字では「沢山」と書きます。「沢山」の「山」のほうは、多量というイメージにも合いますね。「山のよう」「課題の山」などという言い回しに使われているように、「山」にはそもそも「多い」という意味があります。

一方の「沢」のほうには、あまり「多量」というイメージがないかもしれません。沢という漢字は、浅く広い池や沼、湿地、谷川といった意味が代表的。ですが、実は「潤沢」のように「たっぷりとうるおす」という意味や、「光沢」のように「光」に「沢」を合わせると「つや」の意味になる働きもあるのです。
さかのぼれば、万葉集に「さは(さわ)」を多数という意味で使っている例もあり、古くから、「さは(さわ)」そのものに、「多量」という意味合いがあるようです。沢と山を合わせて、もう十分な様子を表す言葉として使われるようになったのはおもしろいものですね。
近世には、「さわやま(さはやま)」という言葉もあり、漢字では「沢山」「多山」と書きました。「数が多いこと」の意味で、女性が書簡で使っていた言葉です。
「たくさん」の語源は、実は説がわかれていてはっきりしません。この「さはやま」という言葉が先にでき、漢字があてられ、音読みされて「たくさん」になったという説と、「たくさん」という音が先で、漢字があてられ、後に訓読みの「さわやま(さはやま)」も使われるようになったという説があるようです。

「きちょうめん」は漢字によって語源が見えてくる言葉でした。「たくさん」は漢字と読みの組み合わせが、かえって語源の謎をいっそう深めている言葉といえるかもしれませんね。

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