語源・由来|「辻褄」「要領」 衣服にまつわる言葉

語源・由来|「辻褄」「要領」 衣服にまつわる言葉


衣服は人にとって単なる防寒具ではありません。身だしなみは、そのままその人の姿勢や生き方の表れであることも多いもの。衣服にまつわる言葉は数多くありますが、それが転じて、人の生き方や姿勢を表す言葉になっていることもよくあります。今回は、そうした衣服の用語が語源の言葉をご紹介します。

「辻褄」~合うべきところが合う美しさ~

「ここ最近の政治のニュースは、辻褄の合わない話でもちきりだ」などというときに使われる「辻褄」。
「辻褄」とは、「合うべきところがきちんと合う物事の道理」、「一貫した物事の筋道」のことです。慣用句として「辻褄が合う(合わない)」、「辻褄を合わせる」といった使い方をするほうが多いかもしれません。

この「辻褄」。「辻」と「褄」の2つの言葉を合わせたもので、どちらも着物にまつわる言葉なのです。

「辻」とは道路が十字に交わるところですが、裁縫の用語では縫い目が十文字に交わることをいいます。また、「褄」は、着物の裾の左右両端の部分のことです。白無垢の花嫁さんや芸者さんが、裾の長い着物を着たときに、手で着物の前部分(竪褄とか褄下、襟下)をつまんで裾を少し持ち上げて歩くことを「褄を取る」などといいます。

どちらもずれておらず、合うべきところがきちんと合っていることが、大切な場所です。きちんと仕立てられ、着つけられた着物姿は、着る側も見る側も背筋がすっと伸びる心地がしてよいものです。肝心な場所が崩れていたり、着崩れていたりする着物姿は、見苦しさを感じさせます。人の言葉も、ちぐはぐな「辻褄合わせ」ほど見苦しいものはありません。

反物を直線で裁って縫う、シンプルな作りでありながら、人の体を美しく見せる着物。その仕立て方、着付けには昔の人の知恵と技術が詰まっています。日本人の着物に対する美意識が、「辻褄」という言葉を生み出し、「物事の道理」を指す言葉につながっていったのかもしれませんね。

「要領」~腰帯と襟を指す言葉~

「要領」とは「要点」のことで、物事のもっとも大事な点のことをいいます。ここから派生して、「物事の要点を掴み、うまく処理する」という意味でも使われます。

この要領という言葉は、『史記』『礼記』など中国の古典で見られる言葉で、「腰領」とも書きます。「要」は人体の「腰」、「領」は「首すじ、うなじ」のことです。また、人体だけでなく、衣服の部分を指す言葉でもあり、「要」は「腰帯」、「領」は「襟」という意味です。要と領、いずれも体と衣服の大事な部分であることから、「要領」が物事の重要な点という意味につながります。着物を持つとき、たたむときには、腰や襟を持つと取り回ししやすいといいますが、その点からも、「要領」は衣服の要点であることがわかりますね。

要点がはっきりしないことを「要領を得ない」といいますが、四文字熟語で同じことを「不得要領(ふとくようりょう)」といい、『史記』にその記述が見られます。また、中国では死罪として「腰を斬る」、「首を斬る」という刑罰がありました。そこから派生して、「要領を全うす」といえば、「腰を斬られることも首を斬られることもなく罪を犯さず生涯を送った」ということを、いったそうです。

ところで、「要領のいい人」という言い方には、2つの意味合いがあります。ひとつは「手際のいい人」、「要点を掴むのがうまい人」という褒め言葉です。一方で「要領がいい人」には「手を抜いたり、人に取り入ったりするのがうまい人」という意味もあります。「あの人は要領がいい」と、人を評するときには、肯定的な意味合いか、否定的な意味合いか、誤解されないように言い回しに気をつけるようにしたいですね。

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