語源・由来|「あめんぼ」「アザラシ」 生き物の知られざる名前の秘密

語源・由来|「あめんぼ」「アザラシ」 生き物の知られざる名前の秘密


身近な昆虫や動物の名前を漢字にしてみると、意外と読みづらかったりします。では、その名前になった理由や、その漢字が使われているのはなぜでしょう? その秘密に迫ってみると思ってもみなかった発見につながることがあります。今回取り上げるのは「あめんぼ」と「アザラシ」。漢字ではどのように書くのでしょうか。

体から●●の臭いがするから?「あめんぼ/飴坊」

田んぼや水辺でよく目にするあめんぼ。
あめんぼは知られている通り水の上で生活する昆虫の一種で、カメムシの仲間です。体長は約10~15ミリメートル。10匹集めても1グラムに満たないほどのわずかな体重と、びっしりと足先に付いた油性の体毛を利用し、表面張力によって水をはじき、水面を自由に移動することができます。

あめんぼは全世界に約1,000種類存在しており、特に亜熱帯地方に多く生息。またあめんぼの仲間は淡水生と海生に大きく分類されますが、全てが肉食で、水面に落下した昆虫類を捕食しています。

そこで問題です。この昆虫がなぜ“あめんぼ”といわれているのでしょうか。

1.雨上がりの水たまりでよく見かけるから『雨ん坊』
2.体が飴のように甘い臭いがするから『飴坊』



その答えは、2. 体が飴のように甘い臭いがするから。というのも、「飴坊」という漢字が語源の有力候補。体が飴のように甘い臭いがするために、「飴」という字が付けられたというわけです。

甘い臭いのする理由は、カメムシの仲間であることが大きく関係しています。カメムシは外敵に襲われると、体の臭腺からくさい臭いを分泌して抵抗します。例えば日常生活で洗濯物やカーテンにカメムシが付いているのを発見したとき、途端に臭いがするのはそのためなのです。

アメンボにもカメムシと同じく臭腺があり、ここから甘い臭いを発するといわれています。
ちなみに「飴坊」の「坊」は、愛称や親しみを込めた呼び方として付られています。

関西ではあめんぼのことを「ミズスマシ」(他に同名のミズスマシ科の昆虫がいますが別もの)と呼び、江戸時代の江戸の方言では「チョウマ」と称されていました。他にも、水馬(すいば)、川蜘蛛(かわぐも)、あしたかと呼ばれることもあります。

アザのような豹の模様ような「アザラシ/海豹」

のんびりゆったり、いつも日向ぼっこをしているイメージのアザラシ。白くて綿毛のようにふわふわの愛らしい赤ちゃんとともに、穏やかで愛嬌たっぷりの動物です。
この動物はアザラシ科に属する哺乳類の総称で、魚や貝、甲殻類が主食。ヒレ状の足と青黒い毛に黒の斑点が目印です。ゴマフアザラシ、ゼニガタアザラシ、クラカケアザラシ、ゾウアザラシなどの約20種が、北洋を中心とした世界中の海や淡水湖で生息しています。

では、なぜ「アザラシ」と呼ばれているのでしょうか。諸説ありますが、その語源は体の斑点(アザ)にあるとされています。例えばゴマフアザラシは真っ白な産毛に覆われて生まれますが、母乳で3週間ほど育てられると体毛は抜け、母親と同じゴマ模様のアザが現れます。アザの獣、つまり「痣(アザ)之(ラ)獣(シ)」というわけです(「之」は当時、接尾語の「ラ」を発達させて読んでいた漢字)。
また、現代の漢字では「海豹」の当て字がなされていますが、この漢字も豹のようなアザのある獣として名付けられたと推測されています。

ちなみに北海道の海域にはアゴヒゲアザラシ、フィリアザラシ、ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシ、クラカケアザラシが生息しており、昔から現地に住んでいるアイヌ民族や漁民の間では、アザラシをアイヌ語の浜ことば「トッカリ」という名で呼んでいました。

アメンボもアザラシも漢字にすると、意外なところに名前の語源があることがわかりますね。

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