語源・由来|「商い」「台風」 秋の季節に知っておきたい言葉

語源・由来|「商い」「台風」 秋の季節に知っておきたい言葉


今回は「秋」にまつわる二つの言葉をご紹介します。秋に多くやってくる「台風」はともかく、「商い」が秋の言葉とは、いったいなぜなのでしょう。

「あきない」の「あき」は季節の秋 「商い」

商売のことを言う「商い(あきない)」。商売は「飽きない」ことが大事だから「商い」という、などと言われることもあるようですが、これはあくまで洒落。では「商い」とはどのように生まれた言葉なのでしょう。

商売の古来の形と言えば、物々交換です。農民のあいだで、米などの収穫物や織物を交換する商業が秋に行われたことから、「秋なふ(あきなう)」という動詞が生まれ、「あきない」になった、という説があります。

別の説もあります。「購う、贖う(あがう、あがなう)」という言葉は、「買い求める」「ある物と引き換えに別の物を得る」という意味ですが、商いと語源が同じとも言われています。

「商い」にはさまざまな慣用句もあります。「商い三年」と言えば、商売での利益を上げるまでには3年はかかるものだから、3年は辛抱しなさい、という意味です。また「商いは牛の涎」と言えば、商売はせっかちであってはいけない、牛のよだれが途切れず長く垂れるように、気長に辛抱強く続けよ、という意味です。どちらの慣用句も、商売に我慢強さと信念を求める味わい深い文句です。秋に行われるから「あきない」というのも納得のいく説ですが、「飽きない」ことが肝要だから「商い」という洒落も、商売人なら心に留めおきたい言い回しのひとつですね。

夏から秋の暴風雨、その名を 「台風」

8月、9月に特に多くやってくる台風。北太平洋西部の熱帯海上で発生する熱帯低気圧で、日本列島やアジア大陸東部に暴風雨をもたらします。実は「台風」という言葉は意外に歴史が浅いのです。日本では秋の暴風は古くは「野分(のわき、のわけ)」と呼ばれていました。『枕草子』には「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。(中略) 大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩、女郎花などの上によころばひ伏せる、いと思はずなり」との描写がありますし、源氏物語にも巻名として使われています。江戸琳派の絵師、酒井抱一の傑作、重要文化財『夏秋草図屏風』には野分に吹かれる秋草が描かれていますし、夏目漱石の小説にも『野分』という1冊があります。昔から「野分」は人々の関心事であったり、文筆家、芸術家の感性を揺さぶる題材のひとつであったと言えましょう。

話を「台風」の語源へと戻しましょう。「台風」という字が定まったのは、1946年です。もともと明治時代の終わりに、中央気象台長の岡田武松によって「颱風(たいふう)」という呼称が使われるようになり、1946年に当用漢字が定められた際に「台風」の字が当てられ、今に至ります。

「颱風」の語源にはいくつかの説があります。1つ目の説は、中国語の語源という説。台湾や中国に大風(タイフーン)という言葉があり、それがヨーロッパ諸国で音を模してtyphoon(台風)となり、再びその言葉が中国や台湾に伝わって「颱風」という字をあてはめたといった説です。2つ目はアラビア語の語源説。アラビア語に「嵐」または「ぐるぐる回る」という意味の「tufan」という言葉があり、それがtyphoonという言葉の元になって、中国や台湾で「颱風」になった説です。また、ギリシャ神話の風の神様「typhon」がtyphoonという言葉に変化した説もあります。毎年、季節になると決まって現れる暴風雨。今ほど気象予報が発達していなかった時代、台風は、航海をする人、農業をする人、さまざまな人たちにとっての重大な関心事であったことでしょう。多くの国に語源説をもつのも台風の影響の大きさゆえかもしれません。

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