語源・由来|「泣きべそをかく」「駄々をこねる」 子どもの様子を表す言葉

語源・由来|「泣きべそをかく」「駄々をこねる」 子どもの様子を表す言葉


小さな子どものしぐさは愛らしく、その姿には思わず頬が緩むもの。その一方で、子どもは自分の気持ちに正直であるがゆえに、思うようにいかないことへの悲しみや苛立ちがひと際激しい時もあるのではないでしょうか。今回は古来から変わらぬ子どもの性分を表す日本語をご紹介します。

への字の口を表した言葉 「泣きべそをかく」

「泣きべそ」とはどんな状態のことをいうのでしょうか? わんわんと声をあげて大泣きしている状態と思われた方、実はちょっと違います。「泣きべそ」とは「今にも泣きそうな顔になること」や「泣きそうになってゆがめた顔つき」のこと。本格的に泣く手前や、泣くのを我慢している時の顔なのです。

「べそ」という言葉は響きが面白いですが、この語源には、口をへの字に曲げる「へしぐち・べしぐち(圧し口)」が転じて「へし」「べし」になり、それが「べそ」となったという説があるのです。

また、能面のひとつに「べしみ(圧面・癋見)」という面があります。下あごに力を入れ、口をぐっと結んだ表情の面のことです。口を結んだ顔は泣きそうな顔にも見えることから、「べそ」の語源は能面のべしみとする説もあります。

「泣きべそをかく」というのも面白い言葉です。漢字では「掻く」と表記し、「かゆいところを掻く」といったように、爪や指先でものの表面をこすることをいいます。しかし、「掻く」にはほかにも多くの意味があり、そのなかには「あまり好ましくないものを表面に出す」という使い方も。用例としては「恥をかく」「汗をかく」「いびきをかく」などがあり、「泣きべそをかく」もその仲間です。

実は「泣きべそ」という言葉には、「泣き虫(ちょっとしたことで泣くこと)」という意味もあるのですが、語源を知ると、言葉の印象が変わりませんか?声をあげて泣きたい気持ちを口を結んでぐっと耐え、それでも涙がぽろりと表に出てくる―「泣きべそをかく」とは、そのような言葉ではないでしょうか。子どもにも意地やプライドがある、そうした当たり前のことに、はっと気づかせてくれる味わい深い言葉です。

地団駄を踏んで…「駄々をこねる」

おもちゃやお菓子買ってほしさに、床にばたりと仰向けになり、これが欲しいと泣き叫んだり、その場から石のように動かなくなったり。見ている分には子どもらしさ全開で微笑ましい光景ですが、当の子どもを連れている親や祖父母にとっては、なんとも頭を抱えたくなる状況です。

「駄々をこねる」とは、子どもが親に甘えてわがままをいったり、すねたりすることです。漢字の「駄々」は当て字。怒りや悔しさで激しく地面を踏むことを「地団駄を踏む」といいますが、この「じだんだ」から「だだ」になったという説が有力です。ほかにはなんと、「いやだ、いやだ」から「だだ」という言葉が生まれたという説もあるのだとか。

「駄々をいう(甘えてわがままをいう)」という表現もありますが、「駄々をこねる」という表現のほうが、子どもの主張の激しさがより強調されているように聞こえませんか。「こねる(捏ねる)」は、粉をこねる、粘土をこねるというように、粘り気のあるかたまりを練る動作を指しますが、「屁理屈をこねる」のように、筋の通らない理屈をしつこく繰り返したり、無理なことをあれこれいって相手を困らせることをいう時にも使います。「駄々」に「こねる」というしつこく粘りのあるニュアンスが加わって、子どもの引こうとしない姿勢が絶妙に表現されていますが、その一方で「こねる」という言葉選びに、遊び心やユーモアも感じられます。子どものわがままが、現代に限ったことではなく、昔からあったということがわかる言葉ですね。

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