間違いやすい日本語|「流れに掉さす」「他山の石」 間違いやすい慣用句

間違いやすい日本語|「流れに掉さす」「他山の石」 間違いやすい慣用句


昔から使われている慣用句やことわざのなかには、時代の変化や思い込みによって間違って使われることが多くなった言葉があります。今回は特に間違って使われることの多い2つの言葉をご紹介します。

棹をさすと舟は進む?それとも止まる? 「流れに掉さす」

「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。」これらの言葉は、夏目漱石の『草枕』の有名な冒頭部分です。「情に掉させば流される」とありますが、ことわざの「流れに掉さす」を下敷きにした言い回しでしょう。
さて、ここでクイズです。

問. 「その発言は流れに掉さすものだ」というとき、「流れに掉さす」の意味は?

1. 傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせる行為をすること
2. 傾向に乗って、ある事柄の勢いを増す行為をすること

答えは2の「傾向に乗って、ある事柄の勢いを増す行為をすること」です。


「流れに掉さす」とは、水の勢いに乗るように、物事が思いどおりに進行することをいうのです。この問題は、文化庁による平成18年度の「国語に関する世論調査」で出題されたものですが、正答率はわずか17.5%でした。多くの人が、時流や大勢に逆らうという意味で使っているのです。

「棹をさす」とは、船頭が長い棹で水底を押して、船を水流に乗せることをいいます。これによって勢いがついた船は流れに乗って早く進みます。それでは、なぜ間違った意味にとらえる人が多いのでしょうか。ひとつは、昔にくらべて、船頭が棹を操る舟に乗る機会が少なくなったからでしょう。棹をさす、という言葉から、流れを止めたり、逆らったりすることと想像してしまうのかもしれません。もうひとつの原因としては「水をさす」との混同が考えられます。「水をさす」は、うまくいっている物事を脇から邪魔をすることですが、「流れ」と「水」のイメージの近さに加え、同じ「さす」という言葉が入ることで、「流れに掉さす」にも「邪魔をする」というイメージが加わったのかもしれません。

先に紹介した夏目漱石の「情に掉させば流される」は、「情に逆らったり抗ったりしても流される」という意味なのではなく、「情を重んじれば流される」ということをいっています。観光地などで和船に乗る機会があれば、棹で舟を自在に操り、流れに乗せる船頭さんの技を楽しみながら、あらためて「流れに掉さす」という言葉や、漱石の「情に棹させば流される」という言葉を味わってみてはいかがでしょうか。

手本としているのは良い行い?誤った行い? 「他山の石」

一石二鳥、石の上にも三年、焼石に水など、「石」にまつわることわざは数多くありますが、「他山(たざん)の石」もそのひとつ。実はこの言葉、間違って使われることの多い言葉なのです。

例えば「私にその話を聞いても無駄だよ。私にとっては他山の石だ」など、「自分とは関係ないこと」という意味で「他山の石」を使うことは誤用です。それは、「他山の石」は「他人の行いを自分の行いの参考や手本とする」という意味だからです。
さらに、引き合いに出す「手本」によっては誤った使い方をしてしまうかもしれません。さて、ここでクイズです。

問. 「他山の石」の意味は?

1. 他人の誤った言行も自分の行いの参考となる
2. 他人の良い言行は自分の行いの手本となる

答えは、1の「他人の誤った言行も自分の行いの参考となる」です。


他山の石は、自分の修養の助けとなる、他人の誤った言行のことをいいます。この問題は平成25年度「国語に関する世論調査」で出題されていますが、正答者は30.8%。そもそも「わからない」と答えた人が3割以上もいたのです。

この言葉は、中国の『詩経』の「他山の石以て玉を攻むべし」という一節がもとになっています。「他山の石」は、よその山から出た、質の悪い石のことです。そうしたつまらない石でも、自分の玉を磨くために役立てることができる。転じて、他人の誤った言動でも自分の人格を磨く助けになる、という意味なのです。

基本的には、愚行や不祥事をさした言葉ですから、目上の人に向かって、「あなたの言行を他山の石として精進します」などとは決していわないようにしましょう。

最新の投稿


健康習慣|秋の過ごし方7選 冬の前に整えよう、秋バテ・感染症対策・メンタルケア

健康習慣|秋の過ごし方7選 冬の前に整えよう、秋バテ・感染症対策・メンタルケア

夏から秋へ、秋から冬へと、季節の移り変わりは、私たちの体調にも変化を与えます。夏の疲労が残る初秋、日が短く乾燥する中秋、冬に向けて体を整える晩秋と、これまでご紹介した健康記事のなかから、秋の健康管理にぴったりの記事をまとめました。


おみそ汁|黒豚の豚汁 肉も野菜も摂れるバランス食

おみそ汁|黒豚の豚汁 肉も野菜も摂れるバランス食

全国の家庭で親しまれているおみそ汁であり、肌寒い季節にはもちろん、夏の暑い時期にもおいしい豚汁。特に肉質がやわらかくうま味が強い黒豚を使った豚汁は、味も栄養価も満足度の高い一品です。今回は、黒豚のルーツや魅力、豚汁をおすすめする理由、豚汁の具材の栄養などについてご紹介します。


健康法|マスクドライアイに要注意

健康法|マスクドライアイに要注意

「マスクドライアイ」とは、マスクの隙間から漏れた呼気が目に当たり、眼球の表面を乾燥させてしまうこと。マスクが欠かせない生活が長引いていることに加え、テレワークでパソコンと向き合う時間が増えたことも相まって、このマスクドライアイが増えているといわれています。マスクドライアイは、目の不快感につながるばかりか、他の原因によるドライアイの症状を悪化させてしまうことがあるため、注意が必要です。


健康メニュー|やさしい味わいのヘルシー料理「白和え」の栄養と作り方のポイント

健康メニュー|やさしい味わいのヘルシー料理「白和え」の栄養と作り方のポイント

和食の小鉢料理として代表的なメニューのひとつ「白和え」。豆腐をベースに野菜やこんにゃくを和えた、素朴でやさしい味わいが楽しめる、昔ながらの料理です。子どもの頃は苦手に感じることもある料理ですが、大人になってからそのおいしさに気づいた方も多いのでは?今回は、そんな白和えの栄養やオーソドックスな白和えの作り方についてご紹介します。


健康習慣|注目の調理法「コールドスタート(コルスタ)」でヘルシーに

健康習慣|注目の調理法「コールドスタート(コルスタ)」でヘルシーに

フライパンで調理をする時、まずは熱したフライパンに油をなじませてから食材を入れることが多いでしょう。「コールドスタート(コルスタ)」は、その常識をくつがえすようなフライパンによる調理法。フライパンに油と食材を全て入れてから火をつけます。コールドスタートで調理をすると、低温の状態からじっくり火を通すので、肉や魚、野菜のうま味が引き出されます。焦げつきや油ハネもしにくく、コンロやレンジフードがベタつかないというメリットもありますよ。


せたがや日和とは?
世田谷自然食品ホームページ
シーク公式ブランドサイト