間違いやすい日本語|「青田買い」「世間ずれ」 わずかな違いで意味が変わる言葉

間違いやすい日本語|「青田買い」「世間ずれ」 わずかな違いで意味が変わる言葉


「青田買い」と「青田刈り」、「世間とずれている」と「世間ずれ」。それぞれ、よく似ていますが、意味の違う言葉です。今回は、わずかな言葉の違いで意味が変わる間違いやすい言葉をご紹介します。

就職戦線のし烈さを表す 「青田買い」

新卒学生たちの就職活動の開始時期が毎年話題になりますが、2019年も6月1日に大手企業による選考が解禁となります。学業に支障がないように決められた「解禁日」ですが、実のところは有名無実化しており、6月以前に選考を実施する企業は多く、解禁日の6月にはすでに内定をとっている学生が多いのが実情です。
さて、学生に早くから採用の内定を出して人材を確保することを表す言葉がありますが、ここでクイズです。

問. 「企業が学生を早い時期に採用すること」をどのようにいうでしょう?

1. 青田刈り
2. 青田買い

答えは、2の「青田買い」です。文化庁の平成26年「国語に関する世論調査」にて、どちらのいい方を使うかたずねたところ、本来のいい方ではない「青田刈り」を選んだ人が約3割もいました。

「青田買い」とは、もともとは稲の収穫前に、その田の収穫量を見越して先買いすることです。対になるのが「青田売り」で、農家が現金の必要性から収穫前の水田作物を先物売りすることです。こうした「青田買い」「青田売り」の言葉を転用し、企業が優秀な新卒学生を確保するために他社に先駆けて採用活動をすることを「青田買い」というようになりました。使われ始めたのは1960年代からだといわれています。戦後の高度経済成長期、労働力不足の頃には、なんと「早苗買い」「籾買い」の言葉も生まれたのだとか。

一方の「青田刈り」にも意味があります。基本的には実る前の青い稲を刈る行為ですが、特に、戦国時代、籠城する敵の城の周りにある田の稲を、実る前の青いうちに刈り、敵を兵糧不足にする戦法を「青田刈り」といいました。

「青田買い」は、新卒学生を実る前の稲に、能力を収穫量に例えた言葉です。稲の収穫といえば、たしかに「稲刈り」の印象が強く、「青田刈り」の言葉もそのイメージから来たものでしょう。しかし、実る前の青い稲を刈ってしまっては、当然、収穫は期待できません。間違った表現で使わないよう、「青田刈り」は間違いで、「青田買い」が正しいと覚えておきましょう。

世知にたけた人 世間ずれ

「世間ずれしていない若者」「彼はすっかり世間ずれしてしまった」などと使う「世間ずれ」。この言葉の意味を正しくご存じでしょうか。それではクイズです。

問. 「世間ずれ」とは、どちらの意味でしょう?

1. 世間を渡ってずる賢くなっている
2. 世の中の考えから外れている

答えは1の「世間を渡ってずる賢くなっている」です。世の中でもまれて苦労したため、世間の裏に通じて悪賢くなること、世知にたけていることをいいます。文化庁が発表した平成25年の「国語に関する世論調査」でこの質問をしたところ、本来の意味ではない2を選んだ人が5割以上にものぼりました。正しく覚えている人のほうが少ないという結果になったのです。

世間ずれは、「世間+ずれ」でできている言葉です。「ずれる」には「ピントがずれた発言」などというように、標準や基準から少し外れるという意味があるため、2の解答を選ぶ人が多くなるのかもしれません。しかし、「世間ずれ」は漢字で書くと「世間擦れ」。「擦れる(すれる)」は「袖口が擦れる」などというように、物と物がこすれて痛んだり減ったりする意味があります。そこから、世間でさまざまな経験をするうちに、当初の純粋な気持ちがなくなることを「擦れる」といい、そこから「世間ずれ」という言葉になっていったのです。

「世間とずれている」という言葉は、今ではよく使われています。「今ごろあの話題で盛り上がるなんて世間とずれている」という使い方は正しいのですが、同じ意味で「今ごろあの話題で盛り上がるなんて世間ずれもいいところ」などと使うのは間違いなのです。間違えて使うと相手を混乱させてしまうこともあるこの言葉、正しく覚えておきたいものですね。

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