日本のみそ|八丁味噌(愛知県) 大豆の旨みがギュッと詰まった味

日本のみそ|八丁味噌(愛知県) 大豆の旨みがギュッと詰まった味


「八丁味噌」は、大豆と食塩を主な原料とする「豆味噌」の銘柄で、チョコレートのような色合いと濃厚な風味、そしてかすかな酸味、苦味が特徴です。愛知県岡崎市の名物であり、当地出身のあの徳川家康も、八丁味噌をたいそう好んだと伝えられています。今回は、そんな八丁味噌のルーツや名物料理についてご紹介します。

画像提供:八丁味噌協同組合

八丁村で作られ続けているから「八丁味噌」

愛知・三重・岐阜の東海三県は豆味噌文化の地。この地域の豆味噌は八丁味噌、赤味噌、三州味噌、名古屋味噌などと地域名を冠して呼ばれています。

八丁味噌は、岡崎城から西へ八丁(約870m)の距離にある旧・八丁村(現・岡崎市八帖町)にある味噌蔵で、江戸時代初期からの伝統的な製法によって作り続けられている豆味噌の銘柄。この地は矢作(やはぎ)地域の大豆、三河湾で採れた塩、矢作川の伏流水と、豆味噌の原料に恵まれていたため、江戸時代初期に八丁味噌の名が付けられる以前から、ずっと味噌作りが行われていたといわれています。

画像提供:岡崎市

八丁味噌の熟成は二夏二冬(ふたなつふたふゆ)

八丁味噌作りでは、大きな杉桶に原料を仕込み、その上に重石となる天然の川石を山のように積み上げ、天然醸造で二夏二冬、つまり2年以上にわたって熟成させます。一般的な味噌の熟成期間は半年程度ですから、より時間をかけて作られているのです。
愛知県民の濃い味好きは知られていますが、実は、八丁味噌は一般的な味噌と比べても塩分控えめに作られています。八丁味噌にはそれだけ、大豆の旨みが凝縮されているのです。できあがった味噌も一般的な味噌より水分が少なく、ギュッと詰まった独特の質感を持っています。
味噌だけでもしっかりした形になるので、チーズのようにサイコロ状に切り出してそのままいただくとお茶請けにぴったり。一口大の八丁味噌を平らにつぶして焼き網やオーブントースターで焼けば、香ばしいお酒のおつまみにもなります。

愛知のおでんには欠かせない八丁味噌

味噌煮込みうどん、味噌カツ、土手煮など観光客にも人気の愛知名物によく用いられている八丁味噌。煮込んでも香りが変わりにくく、煮込めば煮込むほど風味が増すことから、温め直しながら食べる煮物料理とは特に相性がいいようです。
各地で地域色豊かなレシピが見られる冬の定番煮物料理「おでん」も、愛知の出汁はもちろん八丁味噌。大根や卵、厚揚げ、練り物といった定番の具はもちろん、里芋などもおいしくいただけます。砂糖で甘く煮た旨みたっぷりの出汁は、ご飯のお供にも抜群です。
ちなみに、八丁味噌を酒やみりんでのばし、しょうゆ味のおでんのかけだれにする食べ方も人気があります。愛知県内のコンビニエンスストアでは、おでんを買うとからしと一緒に味噌だれの小袋をサービスしてくれるのが一般的です。

画像提供:岡崎まぜめん会

八丁味噌の濃厚な風味は、和食だけでなく、洋食や中華料理にも好んで使われます。
例えば岡崎市では、八丁味噌やなたね油などの地元産品を使って作るご当地グルメ「岡崎まぜめん」プロジェクトが実施されていますが、参加店それぞれが作り出したその味わいは実にバラエティ豊か。うどん、パスタ、ベトナムフォー、沖縄そば、焼きそばと、麺の種類もさまざまで、味も和・洋・創作料理とジャンルを超えて広がっています。

旨みが濃く大豆の栄養たっぷり、それでいて塩分控えめの八丁味噌。徳川家康が当時としては稀なほどの長寿を誇ったのは、健康に気遣った慎ましい食生活などに加えて、豆味噌の健康効果があったのではないかともいわれています。今や全国各地で手に入りやすくなっているので、煮物料理や味噌汁などにぜひ一度取り入れてみてはいかがでしょうか。

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